web版アニメ批評ドゥルガ

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アニメに纏わる記事を書いています。毎月第四水曜日に更新。担当者が異なります。

『きららファンタジア』配信決定に寄せて

次号のドゥルガでは日常系と魔法少女について扱う予定なのですが、今年、日常系が魔法のほうへ歩み寄ったようなコンテンツが誕生するようです。

 

kirarafantasia.com

 

すでにご存知の方も多いと思いますが、日常系まんがを中心に掲載した雑誌『まんがタイムきらら』シリーズの作品のキャラクターがRPGの世界に大集合するというスマホアプリ『きららファンタジア』が今年配信予定であることが発表されました。

たくさんの人気があるタイトルがクロスオーバーするということで、きらら作品が好きな人にはたまらないでしょう(筆者もだいぶテンションが上がってしまいました)。キービジュアルを見るだけでも、「あのキャラとあのキャラが並んでいる……!」という感慨があると思います。ドリームチーム感といいますか、オールスター感といいますか。それぞれの作品の作家が書き下ろしたキャラクターの絵は元の作品・キャラの面影がしっかりと残っており、特に『きんいろモザイク』九条カレンのユニオンジャック柄や『Aチャンネル』トオルのバットなど具体的な要素も維持されていますが、衣装がRPG風に統一されることで(というより、もしかしたらきらら系列の作品の絵柄に傾向のようなものがあるのかもしれませんが)、違和感なく連帯感が生まれていると思いました。

現時点で参加が決定しているタイトルは近年アニメになったもの(『うらら迷路帖』『ステラのまほう』)や、二期・劇場版・OVAが最近制作されたもの・制作予定のもの(『ゆゆ式』『きんいろモザイク』『NEW GAME!』)が中心になっているようです。『Aチャンネル』もアニメのBlu-ray BOXの発売が決定したり、原作者黒田bbさんの画集が発売されたりしているので根強い人気があるのでしょう。根強い人気といえば、『ひだまりスケッチ』が長いあいだ「きらら」の看板であり続けているのはすごいですね……。『がっこうぐらし!』は主にストーリーの内容的な面で他作品と異彩を放っていますが、2015年にアニメ化されて話題に(騒然と?)なりましたね。現在人気や知名度のあるタイトルを起用したのだと思いますが、『ご注文はうさぎですか?』など人気のある作品はまだありますし、アニメになっていない作品も今後参戦していくのでしょう。

「大集合」してそこから何が始まるのか、つまりゲームシステムなどはまだつまびらかにされていませんが、RPGということですし、トレーラーやビジュアルを見る限りいわゆる剣と魔法のファンタジーなのだろうと察せられます。それゆえ記事の冒頭で「日常系が魔法のほうへ歩み寄ったような」と紹介したのは語弊があるかもしれません。日常系の作品が非日常の典型のようなRPG=冒険に移入されるのは面白いですが、両者を混ぜても乖離するどころかあまり違和感がなさそうというのも興味深い点ではあります。

STAFFの項目を確認したら、アニメに準拠した声優さんがキャスティングされていました。やはりスマホゲームという媒体だと、企画のベースになっているのが漫画とはいえ声が必要なんですね。茅野愛衣さんが大活躍されていますが、ひとり二役三役(あるいはそれ以上)兼ねる状況になるのはクロスオーバーだからこそという感じがします。きらら作品では、ともに『まんがタイムきららMAX』で連載中の『きんいろモザイク』の綾と『ご注文はうさぎですか?』のリゼが、容姿が似ていてしかもキャストが同じ種田梨沙さんということで、綾とリゼがふたりで『きららMAX』の創刊10周年号の表紙を飾るということが行われたりしました(もともと仲のいい作品なのでそれまでにも何度かコラボはありました)。いわゆる「中の人つながり」でキャラクター同士の関連が生まれることが今後はより起こりうるかもしれません。

 

『きららファンタジア』の動向をこれから期待しつつ見守っていきたいと思います。ドゥルガ二号もよければ楽しみにお待ちください、たぶん秋の文学フリマ東京で出しますので……!(ただ乗り感がすごい)

 

(奈)