web版アニメ批評ドゥルガ

web版アニメ批評ドゥルガ

アニメに纏わる記事を書いています。毎月第四水曜日に更新。担当者が異なります。

2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

何故「ファンタジーなんて描けない」のか――認識と一貫性に関する一考察

「高度に発達した科学技術は魔法と見分けがつかない」というアーサー・C・クラークの有名な文言がある。本人がどのような文脈でこれを述べたかは知らないが、この言葉からは発展に従って人類の手から離れてゆこうとする科学技術に対する戸惑いのようなものを…

あまりに主題論的な『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』

(引用元:https://www.fashion-press.net/news/27685) 公式サイト:www.uchiagehanabi.jp 原作:岩井俊二 総監督:新房昭之 監督、絵コンテ、キーレイアウト、美術設定:武内宣之 制作会社:シャフト 『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』(以…

ボクサーとしての属性 

矢吹丈というボクサーの属性は、「ケンカ」や「野生児」といったような、既成のボクサーのスタイルを異化し、彼が正統から外れた存在であることを表すようなものを付与されています。それは、ジョーがボクシングを始めるに至った経緯や、彼の並外れた才能を…

「明日の入り口」に残されたのは――『けいおん!』をめぐって(5・終)

時間という概念がきわめて重要なプルースト『失われた時を求めて』では頻繁に文章の上にあらわれる細部がいくつもあるのですが、そのなかの代表的なものとして「窓」と「光」があります。窓はある隔たりを保ちながら外界を見るためのものであり、またプルー…

流れていく現在のただなかで――『けいおん!』をめぐって(4)

時計を見慣れた我々にとって、時間というものに循環性があることはすぐに了解されると思います。長針が一周することで一時間が経ち、短針が二周することで一日が経過します。あるいは太陽が昇っては沈むことで一日が経ち、一週間、一ヶ月と経っていって、春…

円形を見つめるあずにゃん――『けいおん!』をめぐって(3)

二期13話「残暑見舞い!」でも、梓は夢を見ます。 (二期13話の紹介ページ↓) www.tbs.co.jp 夏休み、三年生四人が勉強で忙しくしているなか、梓は暇を持て余していました。夏の熱に浮かされたように梓は憂や二人の同級生の純と遊びに出掛けた先でも居眠りを…

逆の物語としての「解散ごっこ」――『けいおん!』をめぐって(2)

『映画けいおん!』をめぐる議論のなかで(それはもちろんTVシリーズにも波及しますが)、重要だと思われることがらの一つとして「模倣」が挙げられました。 冒頭、前回言及した唯が目覚める場面のあと、シーンは三年生四人が音楽室で(彼女たちらしくもな…

細部の連関、写真と目覚めという契機――『けいおん!』をめぐって(1)

昨日、ドゥルガとしては初の勉強会を行いまして、いろいろと議論することができました。 扱ったのは『映画けいおん!』(2011)です。 映画 けいおん! (Blu-ray 初回限定版) 出版社/メーカー: ポニーキャニオン 発売日: 2012/07/18 メディア: Blu-ray 購入: …